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本気になんかならない

第31章 スクロール

店前は雪かき後らしく、道の脇にはこんもりと80センチほどの雪山が作られていた。
その山の向こう、倉庫から出てきた汗まみれの千尋さんに、声をかける。
彼は俺を見ると、口のはしをひくっと動かして笑った。

「朝から雪かき、おつかれさまです。
それと、昨夜は連絡もせずに休んだりしてすみませんでした」

「ふうん?それだけ?」

ふうっと息を吐いた彼は、雪原に目を渡す。

「えっ…と。」

謝りたりない、ということだと思った俺は
削りあげられた雪の上に膝をつき、頭をさげる。

「無断で休んだこと、もうしわけありません。
これからもここで働かせてください。
おねがいします」

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