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本気になんかならない

第33章 告白

そのあと、小気味よく食事が運ばれ、デザートでも彼女は笑顔を見せる。

「こんなにおいしいお料理、初めてよ。
お店の雰囲気もステキだし!」

「喜んでもらえたら」と、俺も嬉しくて。

テーブルに食後の紅茶が運ばれると、その部屋は、静かな音楽が流れる俺と北里だけの空間になる。

機嫌上向きな彼女に、俺の胸もはずむ。
そして、ポケットをさぐって
さあ、伝えるんだ。大事なところで噛むなよ?

取りだしたケースをテーブル下で握った俺は、深い呼吸をして彼女を見た。

すると、俺が口を開くより早く、彼女はペコッと頭をさげる。

「今日は本当にありがとう。
ごちそうになったうえに、お祝いまでいただいちゃって。
サナと向こうで使わせてもらうわね」

と、うるませた瞳でニッコリ、極上に笑った。

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