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本気になんかならない

第33章 告白

注文を終えて、ふたりでノンアルコールワインで乾杯。
コクっと飲んでグラスを置くと、脇に用意していた紙袋を渡す。

「開けて?俺からのプレゼント」

「ありがとう。…もしかして、カバン?
わ、これ、ほしかったの!」

リボンをほどいて現れたそれを見た瞬間、
彼女が笑みとともに瞳を輝かせて、
俺は心のなかでもよかったとニッコリ。

「うん。
前もカバンだったから、違うものにしようかとも思ったんだけど。
子どもが歩きまわるようになると、トートよりリュックのほうが重宝するって聞いたから。

それと、女のコって、母親の真似をしたがるかなと。
だから、北里とペアのミニリュックをサナちゃんに」

「ありがとう!
私もね、和君にカバンのプレゼント」

「え?そうなんだ?」

手渡された包装を俺がとくあいだに、彼女が話す。

「和君って、自転車で出勤してるって聞いて、ショルダーだったらいいかなって。
お財布とか、前カゴに入れるのは危ないし、ポケットからも落ちるかもしれないから」

、、財布はときどきクリームを塗るものの、ひきだしにしまってあって、あいかわらず現金つっこみの俺だけど。
彼女が俺のことを考えて選んでくれたのが嬉しかった。

これからは、このカバンに財布入れて使おうかな…。
そんなことを考えながら、彼女にお礼を述べる。

「軽くていいな!ありがとう、大切に使う」

「私たち、おそろになっちゃったわね。
仲良し家族みたい」

「えっ!?」

言われてみれば、バックの種類違えど俺のにも彼女たちと同じブランドタグがついている。

おそろい家族…
俺が赤面したのに気づかないのか、北里はクスクスと笑った。

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