テキストサイズ

本気になんかならない

第35章 いつか

***

気がつけば
カーテンの外はもう、暮れ。

シャワーを軽く浴び、服を着て
彼女が淹れてくれたコーヒーを飲む。

カチャリとカップを置いた彼女は
こう、切りだした。

「和君。私ね、和君のこと大好き。
だけど」

そこで北里はいったん、言葉を切った。
俺の目をじっと見据え、続く短文を言いはなつ。

「結婚前提を取り消してほしいの」

「え……どうして?」

さっき、あんなに熱く愛しあった彼女、
今も俺のこと、"大好き"と言う彼女。

なのに、冷水を浴びせられたような…。


心当たりは…。。


茫然とした俺を尻目に
彼女は壁際の戸棚を開けて

そこに入っていた小さなケースを
俺の前に、、静かに置いたんだ。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ