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本気になんかならない

第39章 幸せ所有格

そこへ入ってくる、お兄ちゃんの声。

「リュックの話なんかしてないだろ」

するとかぶせるように、義姉が手をパチンとたたいた。

「そうよね!リュックより指輪!
婚約指輪が見たいわ!ねっ、貰ったんでしょ?」

兄から放たれる鋭い視線をさえぎるように、義姉は私にずいっと迫って言った。

「う、うん…。これなの」

リュックのポーチのなかにしまっていたボルドーがかった赤いケースを出して、見せた。

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