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本気になんかならない

第6章 最後の夜

来た道をふたりで歩く。
こんなこと初めてだな。
ひんやりした夜の街、つないできた北里の手が温かくて心地よくって。俺はまた錯覚を起こしそうになる。
バーの前まで来て、彼女が言う。

「マスターがね、和君を連れもどせたら、ケーキくれるって」

そっか、それで俺を必死で探したわけだ。

「俺も、おすそわけてもらえるかな?」

「きっとね。だけど私、夜にケーキなんて太らないか心配」

「食べたいんだろ?」

「でも…」

「じゃ、食べたあと、俺と運動でも?」

耳元でそう言うと、北里は赤い顔を俺の胸に沈めた。
彼女が俺に求めるのは、そこなんだ。
セフレ改ペット。いや、兼かな?

北里が終わらせたくないと思っているのなら……
鍵もまだ返せないし…。

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