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好きだって気づいたとき

第15章 卒業式

今日は卒業式。
3年間通ったこの中学ともお別れ。
いろいろあったなぁ・・・
楽しかった事もたくさんあったけど、やっぱ木村達との喧嘩が1番の思い出。
嫌な事ほど忘れれないもの。
思い出と言うよりかは、忘れたくても忘れられない出来事。
できることなら忘れてしまいたい、自分への戒めとして忘れてはいけない出来事。


「あ〜あ、今日でこの学校ともお別れだな」

「今思えばあっという間だったよな」


もう少ししたら体育館で卒業式が始まる。
さっきまで元気だった俺達。
教室を見回したり、横に並んで窓から校庭を眺めたり、野生児が何だか急にしんみりし始めた。
校内放送がかかり、クラスごとに体育館へ向かった。
遼太より少し背が高い俺は、背の順並びは遼太より後ろ。
卒業式の始まりから終わりまで落ち着きのない遼太。
俺達野生児、じっとしている事が苦手だけど、大人に近づいてきたからそれなりに空気は読めるようになってきた。


「遼太は変わらないな。
まぁ、それがあいつのいい所でもあるんだけどな」


こんな雰囲気の中でも、“俺が1番遼太のこと知ってるんだぜ”的優越感に浸る俺。
俺も充分空気読めてないや。
落ち着きのない遼太が気になって気になって、雰囲気を味わうことなんてできなかった。
式も終わり、体育館を退場していく時、遼太と目が合った。
合った途端に遼太の顔は見る見るくしゃくしゃなっていった。
ボロボロと涙を流し鼻水をすすり、顔をこすっていた。


「泣くのを我慢してたのか・・・」


わかってるなんて優越感に浸っていた俺。
全然わかってないじゃんとなんだかヘコんだ俺。
こんな雰囲気の中、こんな事考えるなんて、やっぱ俺空気読めてないな。





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