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好きだって気づいたとき

第15章 卒業式

卒業式2日後、高校の入学試験。
俺と遼太、他にも何人か同じ学校を受験。
その中には木村もいた。


「遼太、どうしたの?」

「何か緊張しちゃって」

「お前が緊張するなんて珍しいな」

「するに決まってるだろ。
だってお前と同じ学校に行けるかどうかが決まるんだよ。
あ〜、ドキドキするよ」

「まだ出かける前だし、落ち着けよ」


予定の30分も早く俺を迎えに来た遼太。
まだ出かける準備をしている俺の部屋の中をウロウロしている。


「友哉、ちょっと頼みがあるんだけど」

「何?」


答えるか答えないかで遼太が後ろから抱きついてきた。
そのままされるままでいると、くるっと俺を自分の方へ向けてギュッと抱きしめた。


「少しこのままで・・・」


俺も遼太の背中に手を回し、抱きついた。


「友哉・・・」

「何?」

「うぅん、何でもない」


そんな事を言いながら、俺の頭を優しく撫でた。
それがすごく心地よくて、緊張してないつもりでいた俺も、体の力がスっと抜けていった。


「よしっ!充電完了」


そう言うと俺の体を離した。


「俺はお前の充電器かよ」

「友哉といると何でもできるし何でも頑張れる。
まさにお前は俺にとっての充電器だよ」

「何だよそれ・・・」


遼太の役に立ててるならそれはそれで嬉しい。


「それじゃあそろそろ行きますか」


時間になり家を出た。
同じ高校を受験するみんなと現地で待ち合わせ。
そこには木村もいる。
あいかわらず木村を警戒する遼太。


「おはよう」

「あっ、おは・・・よう」

「頑張ろうな」

「うん、頑張ろう」


照れくさそうに笑う木村。


「友哉、行こっ」

「うん・・・またあとで」



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