Memory of Night
第2章 部屋
そして、約束の日の日曜日。
宵は晃から受け取った住所を頼りに、晃の家に向かっていた。
学校からそれほど遠くない。歩いて十五分ほどの距離だという。
今は七月の初め。宵は緑色のティーシャツと薄茶のジーンズという軽装だ。女物の服は、晃の家で用意するという。
しばらくメモと表札を見比べながら歩いていると、三階建ての大きな家を見つけた。
住所を確認し、晃の家で間違いないと知る。
「スゲー」
白い、洋風チックなキレイな家だった。
庭が広く、そこには何種類もの花がきちんと手入れされて咲いている。貴婦人でも住んでいそうな雰囲気の家。
宵はその外観に圧倒されながら、おそるおそる晃の家の呼び鈴を鳴らした。
「いらっしゃい」
すぐにドアが開く。
中から出てきた晃は、青いシャツに白いジーンズ姿だ。シャツはボタンを二つほどはずしていて、そんな着こなし方が優等生と呼ばれる彼にしてはめずらしく感じた。
「今日は親遅いんだ。だから安心して」
「仕事?」
「うん」
晃は宵を、三階にあるという自分の部屋に案内した。