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Memory of Night

第9章 予感


 瞳の、色。


「あんたみたいな灰色の目をした人なんて滅多にいないわ」


 腕を組み、確信に満ちた笑顔を浮かべる明にしばらくは返す言葉が見つからなかった。

 瞳の色含め、容姿や体質はほとんどが母親譲り。


(……ここまでそれを恨めしく思ったこともねーかも)


 頭を抱えてしばらく考えたが、もう言い訳は思いつかない。

 宵は観念して白旗を上げた。


「……誰にも言うなよ、絶対。つか誰と来てたんだ? 祭」

「言いふらすつもりはないけどさ。えっと……あゆちゃんとみっちーと梨香と、真美とひなと……」


 ニックネームで言われてもわからない。

 だが今の問題はそこではなくて。


「待て待て、何人で行ったんだよ?」

「あたし入れて九人だよー。みんな女子」

「はぁ!?」


 予想外の人数の多さに、声のトーンを上げてしまう。

 ということは、あと八人の女子に女装姿を見られてしまっているということ。


「…………最悪」


 なんとなく明の友達は噂好きな子が多そうな気がして、余計に絶望的な気持ちになる。

 すぐにクラス中に広まってしまいそうだ。

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