Memory of Night
第3章 秘密
次の週の水曜日。
日直で一人教室に残っていた宵は、ぶつくさ文句を言いながらも日誌を埋めていた。
「……たくめんどくせーし。こんなん、担任が書きゃいいのに」
晃の家に行ってから、宵はセックスをしていない。
もちろん晃にやめろと言われたからではない。
ただ単に手頃な相手が見つからなかっただけだ。
確かに相手は誰でも良かったが、あまりに派手に誘いまくると学校にバレる恐れがある。それはまずい。相手は、慎重に選ぶにこしたことはない。
そんなことを考えている時だった。
「あっれぇ。宵くんまだいたのー?」
開け放したままのドアからそう声がして、宵は顔を上げた。
「ああ、ゴン太」
そこに立っていたのは、宵のクラスメイトで百キロの巨漢、林田(ハヤシダ)ゴン太だった。
「日直なんだよ。ゴン太こそ、まだ帰んねーの?」
「委員会だったんだよぅ」
ゴン太は人なつっこい笑みを浮かべながら、宵のところに近付いてくる。
準備室での一件以来、ゴン太とはよく話すようになった。