Memory of Night
第3章 秘密
「こんにちは。二週間ぶりくらいかな」
早いね、と言って笑う弘行に、宵は軽く頭を下げる。
弘行はそんな宵を応接室に案内した。
「どうぞ。ソファーに座って待ってて。今お茶入れるから」
「いーよ。これ渡しに来ただけだし」
宵が、カバンの中から茶封筒を取り出す。その中にはここ二週間ほどで手に入れた金が入っていた。
弘行は、真剣な面もちでそれを受け取る。
「今日はいくら入ってるんだい?」
「十八万」
短く答えた宵に、弘行が目を見開いた。封筒を凝視して呟く。
「そんなに……」
それから宵に視線を移し、言った。
「そんな大金、一体どうやって手に入れたんだい?」
宵は弘行の質問に答えようとはしなかった。黙ったまま、弘行に渡した封筒を見つめている。
いつもそうだ。そういう質問には、宵は何も答えない。
その頑なな態度に、弘行は諦めて違う質問をした。