Memory of Night
第3章 秘密
「志穂(しほ)さんのお見舞いはしたの?」
「まだ……だけど。いーよ、こないだ行ったし」
「なんで? たくさん来てくれた方が、志穂さん喜ぶと思うけど?」
弘行に問いかけるように言われ、宵が居心地悪そうに目をそらす。
ぼそっと言った。
「……じゃあ行く」
その反応がなんだか可愛くて、弘行は吹き出した。
「面会は八時までだから、好きなだけお母さんに甘えていきなさい」
「はあっ? そんな年じゃねーって」
ムッとしたように言い返す宵に、弘行は声をあげて笑った。