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Memory of Night

第13章 吉報


 トレイには、水の入ったコップ。それを宵に差し出し、弘行は検査を行った。

 熱や脈を図り、宵に体調を聞くという簡単なものではあったけれど。

 そんな事務的な事を一通り済ませた後、ようやく弘行はわずかに表情を緩めた。


「まだ熱は高いな。三十九度を越えてる。……右腕の感覚はあるかい?」


 言われて、改めて右腕を見る。まだ腫れがおさまらないらしく、左腕と比べるとかなり太い。

 左手でそっと触れ、宵は首をかしげた。


「……微妙」

「そうか」


 弘行は顔を曇らせた。

 そして、宵の体調を気遣いながらも、宵に打たれた薬の成分や体に与える影響、弘行が施した治療などを簡単に説明した。


「徐々に腕の感覚は戻ってくると思う。後遺症も残らないだろう。リハビリ……というほどおおげさなものでもないけど、筋肉がほぐれやすいように、なるべく腕を動かした方がいいよ。……多少痛むかもしれないが」

「りょーかい。……てか、俺、どれくらい寝てたの?」

「まるまる二日だな」

「そんなに?」


 驚いて目をみはる。

 不良達に絡まれたのは金曜日。それから二日ということは、今日は日曜日?

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