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Memory of Night

第13章 吉報


「怪我をした翌日の……昼くらいかな。一度目覚めたみたいだけどね。覚えているかい?」

「……うん」


 多分、晃の胸にすがって泣いていた時のことだろう。

 思い出すと気恥ずかしくて、宵は弘行から視線をそらした。


「大西くんが君を助けてくれたんだよ。あの日、怪我を負った君を背負って病院まで走ってきてね。あの子も左腕骨折してるし、君は腕腫れてるし左足はひび入ってるし全身打撲だらけだし、一体何があったのかと思ったよ」


 ということは、やはり晃が自分を助けてくれたのだ。

 不良達は六人もいたのに、たった一人で。


(化け物かよ)


 驚かずにはいられない。

 晃の身体能力は、なんだか計り知れなさすぎて怖い。


「すぐに警察にも届けて、あの不良達は連行された。君が目覚めたら、少し話をききたいそうだ。……まあ、熱が下がってからで大丈夫だろうが」


 警察……という言葉に、宵の心臓がどくんと音を立てる。

 だいぶ大事(おおごと)になってしまった。晃の進路は、大丈夫だろうかと不安になった。内申点に傷がつかなければいいけれど。

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