Memory of Night
第14章 聖夜
窓から差し込む光が、微量ながらもその人物を映し出す。
晃は目を見開いた。
信じられないものを見るように、その人物を凝視してしまう。
「……びっくりした。ついに幻覚症状かと」
「なんだよそれ。バカじゃねーの?」
返ってきたのは、ぶっきらぼうな声。
「ずっと会いたかったからさ」
「……会いに来なかったくせに」
「来てほしかったの?」
わざと意地悪く問いかける。
相手が押し黙るのが、息を呑む気配でわかった。
「ごめん。嘘だよ」
ベッドに座ったままその人物を見上げてると、くすくすと笑いがこみ上げてくる。
最高のタイミングで自分の前に現れてくれたことが、酷くおかしかった。
……おかしいくらい、嬉しかった。
晃は立ち上がり、怪我していない方の腕を大きく広げてその人物を部屋に迎え入れた。
「こんばんは! 宵!」