テキストサイズ

Memory of Night

第14章 聖夜


 晃の唇がついばむように宵の上唇をなぞる。続いて下唇。その行為に強引さは一切排除されていた。

 宵の唇を舌先でなぞりながら、晃は宵の髪の間に手を差し入れた。


「……濡れてる」


 ふいに晃がつぶやいた。濡れてるというか、かすかに湿気を含んでいる。


「……ああ。乾かしてねーから」

「風呂済ませてきたんだ」


 やっぱり、と思う。宵の服装はグレーの長袖と下は黒いスエット。ずいぶんとラフな格好だったから。


「準備は万端……てわけね」

「そういうわけじゃ……っ」


 別に抱かれるために風呂を済ませてきたわけじゃない。

 だが晃は宵が弁明する前に再び唇を塞いだ。


「俺も」


 何が? と問いかける前に晃の舌は口内に侵入していた。


「ふ……」


 舌を吸われ、同時に服の上から左手で胸元をまさぐられる。

 突起に触れると、晃は執拗にそこばかりをいじってくる。


「んん……っ」


 甘い疼きにたまらなくなって宵は唇を離そうとするけれど、晃は許さなかった。

 さらに深く唇を合わせ、舌の動きも激しさを増す。


「んう……ふうっ」

ストーリーメニュー

TOPTOPへ