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Memory of Night

第14章 聖夜


 息が上がる。背筋を何かが這い上がるような感覚があって、ゾクゾクした。

 口の端から溜まった唾液が一筋零れた。もうどちらのものかもわからなかった。

 晃の唇がようやく離れる。ほっと息をつく間もなく、今度は顎を伝って首筋に下りてくる。

 甘噛みして、吸い上げて、次は鎖骨へ。片腕は背へ、もう片方の手は胸元をまさぐったまま手と口で丹念に愛撫する。


「ん……あっ」

「ヤラシイ声」


 くすっと笑われて、どっちが、と思う。

 晃の声だって十分いやらしい。

 晃の言葉はいつも、宵の鼓膜を震わせる。低くて甘い低音で囁かれると、頭蓋骨の奥まで揺さぶられてるような錯覚を覚える。

 首をそらし、喘ぐように天井を仰ぐと、スエット越しに宵のものを握られた。


「や……」


 息を詰め、宵は晃に請うような視線を向けた。


「どうしてほしい?」


 宵は首を振るだけ。晃はわざと緩くそれをしごく。

 晃の服を掴む手の力が強まる。

 肩を上下させ、晃の肩に顔を伏せてしまった宵の顎をつまみ、無理矢理顔を上げさせた。

 羞恥に歪む顔を見つめ、意地悪く言う。


「俺をこんなに待たせた罰だよ。いっぱいいじめてあげるから、覚悟して」

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