Memory of Night
第15章 告白
宵を自分の方へ引き寄せようとする行動は、まるで、大事なものを必死で守ろうとしている子供のようだった。
宵の口もとが自然とほころぶ。
本当に、そういうのは反則だ。普段とのギャップがなんだか凄まじい。
握りしめられた温かさと共に、心の中に込み上げてくるものがあった。
こういう気持ちを愛しさと呼ぶのなら、理解できる気がする。
「晃」
耳元で名前を囁いて、晃の頬に口づける。
晃の瞳が薄く開いたのを、宵は知らない。
思えば助けてもらった礼も、怪我をさせてしまった謝罪も伝えることはできたのに、たった一つだけまだ言っていないことがあった。
伝えたい。そう強く思った。
宵は、伏せた拍子に落ちてきた寝乱れた髪をかきあげながら、自分でも驚くくらいに優しい声音で囁いていた。
「――俺も……好きだよ」
顔にかかった髪の下で、晃の唇が笑む。
その仕草にも、宵は気付かないままだった。