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Memory of Night

第15章 告白


 宵からの思いもよらぬ吉報に、晃はしばらく目を見開いたままだった。

 医者と患者という関係から一体いつ頃そんなふうに発展したのか。

 それを宵に尋ねると、自分も最初は気付かなかったのだと苦笑した。

 天井に視線を向けて続ける。

 ずいぶんな急展開に最初は驚いたが、いつの間にか弘行は志穂のことを名前で呼んでいた。それに加えて、弘行が自分に向ける丁重すぎるくらいの配慮や気遣いを考えれば、納得はできたと。

 弘行の態度があまりにも自然すぎて、宵はずっと見逃していたのだけれど。

 仕事の忙しい弘行が宵と志穂のもとを訪れたのは昨日の夜。まとめておいた志穂の荷物を抱え、志穂を連れて弘行が暮らすアパートに引き取っていった。


(それで、宵が来たのはあんなに遅かったのか)


 晃は納得する。

 だがふいに疑問が湧いた。


「宵は一緒に行かないのか?」

「……なんで? 行くわけねぇじゃん。せっかくの新婚生活の邪魔したくねーし」

「……そうか」


 そこで宵は複雑そうな顔をする。

 手持ち無沙汰なのが嫌なのかもう一度カップを両手で包んで、半分ほど残った液体を見つめた。

 ためらいがちに口を開く。

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