Memory of Night
第15章 告白
「本当は一緒においでって言われてんだけどな。わがまま言って今のアパートに住まわせてもらうことにした」
「それもありだと思うけどね」
晃も頷く。
だが、そこでふと思う。
せっかく志穂が退院することができたのに、弘行のところに行けばまた宵は一人になってしまう。
宵はあまり自分の気持ちを言わない。いきさつだけを淡々と話すだけだ。
だから心配になった。一人になって、宵が寂しい思いをしてしまうんじゃないかと。
だが、コーヒーカップの隙間からこっそり覗き見た宵の表情は、とても晴れやかなものだった。肩の荷がおりたような、ホッとした顔をしている。
「おめでとうございます。……って伝えて。二人に」
だから晃も心の底からそう祝福することができたのだ。
「……にしても、君も損な役回りだね。せっかく青春を捧げ尽くした女性は、結局他の男に貰われていっちゃったんだ」
晃がからかうようにそう付け加えると、宵は数回目をしばたたかせた。
「……なんかすっげー語弊があるぞ、その言い方。言ってることは間違っちゃいねー気もするけど」