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Memory of Night

第3章 秘密


「……ありえねーだろそれ。俺は……養子なんだよ」

「養子?」

「十の時に両親が死んで、引き取ってもらったんだ」


 宵の言葉に、晃が志穂を見る。


(確かに、あまり宵とは似てないな)


 容姿はむしろ、正反対という感じがした。

 志穂の印象は、髪や瞳の色から洋風で質素な印象だった。顔つきも幼げで、『かわいい』という形容が似合うような。

 だが宵は、日本人形のような高貴な印象を最初は受けた。形容も、『かわいい』より『キレイ』という方が合っている気がする。

 話してみるとそういう印象は一気に崩れたけれど。

 二人のことを見比べていて、晃はあることを思いついた。


(なんか宵って……)

「和服とか似合うかも」


 つい口に出してしまって宵に非難のまなざしを向けられる。


「和服って、急に何言ってんだよ?」

「コスプレのこと考えてたんだ。今度付き合ってよ?」


 息がかかるほど近くで囁かれ、体がゾクリとした。


「エロ親父」


 投げつけて、ふいっとそっぽを向く。

 クスクスと笑う晃の声が響き、それがますます宵をムカつかせた。

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