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Memory of Night

第5章 玩具


「――スイッチを入れてから三十分ちょっと。刺激を急に強くしすぎちゃったかな」


 晃の声が、頭上から降ってきた。

 晃に連れてこられたのは、三階の音楽室だった。


「もう……止めろよっ!」


 強い振動はずっと続いている。

 宵は体を起こすことができずに、床に手をつき這うようにしてそこにうずくまっていた。

 晃はドアの正面、ピアノの椅子に腰を据えて宵の様子を眺めている。

 うっすらと微笑を浮かべながら言う。


「やだよ。お仕置きはまだ終わっちゃいない」


 そして立ち上がり、ゆっくりと歩み寄ってきた。

 そのまま宵の髪を乱暴に掴み、グイッと引っ張った。


「う……」


 無理矢理顔を上げさせられ、宵がくぐもったようなうめき声を洩らす。


「あ……」


 そのまま服の中に手を入れられ、胸の突起物を摘まれた。


「とがってる。キモチイイ?」


 宵は首を振った。

 だがそのしぐさとは裏腹に、呼吸は乱れ、頬はほんのり赤く上気している。


(もっと素直になればいいのに)


 少し触れれば感じているのはわかる。

 体は言葉よりも、ずっと正直だ。

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