
ショート・ショート
第2章 2.密姫
彼から逃げないと、
身体がその場に倒れこんだ。
自分の意識とは裏腹に
身体は動かなかった、
そして、ゆっくりと立ち上がって
来た道へと方向を変える
足がゆっくりそっちに動き出す、
あぁ、
だめ、
そっちは
あぁ、
「おかえりなさい。」
玄関でバスローブを纏った彼が
私を腕を広げて迎えた。
私の身体は最中にすっぽり
入り込んだ。
彼は私を強く抱きしめて
濃厚なキスを交わした。
キスでさえ、気持ちよく感じた。
私の身体ははどうなってるのか。
逃げたいのに、身体がここを
離れようとしない。できない。
