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take a breather

第23章 証

キッチンに入って翔の腕を掴む

「智さん?」

不思議そうに俺を見る翔を、リビングからは見えない死角へ抱き寄せた

「なっ…智さんっ、絵莉ちゃんが見たらっ…」

少し抵抗をみせる翔をギュッと抱きしめた

「大丈夫…ここなら見えないよ」

耳元で囁くと、大人しくなる翔

「ごめんな?」

俺が謝った意味をわかったのだろう
翔が腕の中で俯き、小さく首を振る

「大丈夫です…わかってますから…」

わかっているのは、わかってる…

でも、だからといって傷付かないとは限らない

翔の両肩を手で掴み、真っ直ぐ見つめて想いを伝える

「これから先も、ずっと3人一緒だから」

「…はい」

翔は瞳に薄らと涙を浮かべ、笑顔を見せた

こんなありきたりな言葉しか言えないけど

それでも何度でも伝え続けるよ、翔が笑顔になるなら

翔に顔を近付けると、翔が目を伏せた

お互いに啄ばむようなキスを何度か繰り返し、離れる

「これ以上はヤバいな…」

「ふふっ…そうですね」

恥ずかしそうに微笑む翔を、本当は襲ってしまいたいが
流石に絵莉がいる所でそれは出来ない

「夜までお預けだな」

「はい…」

顔を紅く染めながらも、返事を返してくれる翔…

うん…大人になった

前なら照れて真っ赤になるだけだったもんな

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