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take a breather

第1章 Now or Never

それからというもの、平日は毎日LINEのやり取りと時間が合えば電話で話をした。

そして待ちに待った週末デートの日。

翔くんと待ち合わせしたファミレスに向かうと、店の前でなにやら言い合いをしている二人組がいた。

その前を通り過ぎようとしたとき、聞き慣れた名前が耳に入った。

「まぁくんは心配じゃないの?翔ちゃんのこと」

「心配だよ?心配だけど後を付けるなんて良くないよ。
翔ちゃんから話してくれるの待とう?」

「そんな悠長なこと言ってて、翔ちゃんがおかしなヤツに捕まったらどうすんだよ」

「大丈夫だよ。しっかり者の翔ちゃんがそんなヘマするわけないだろ?」

「いーやっ!こればっかりはわからないよ!
だって翔ちゃん、恋愛に関しては経験値ゼロに等しいじゃん!」

『翔ちゃん』って翔くんのこと?
この二人は翔くんの友達?

取りあえず中に入って翔くんに伝えてみるか。

店内に入ると、奥の席に座ってる翔くんを見つけた。
近付いて行くと、翔くんも俺に気付きニコッと嬉しそうに笑う。

「お待たせ」

翔くんの向かい側の席に座った。

「ううん。俺も今着いたとこ」

「あのさ…」

「ん?なに?」

「外にいる二人、知り合い?」

「えっ?ふたり?」

翔くんが視線を外に向けると少し目を見開いた。

「カズと雅紀⁉」

「やっぱり知り合いなんだ」

「えっ⁉なんで?」

「今二人の口から『翔ちゃん』って聞こえたからもしかしてって思ったんだよね。
なんだか翔くんのこと心配してるみたいだったけど」

「心配?なんでだろ?
ごめん、ちょっと行って来ていい?」

「ん、いいよ?いってらっしゃい」

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