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take a breather

第8章 rolling days

翔さんがいなくちゃ何も解決の糸口が探れない

明日はバイトの日だから今のうちに夕食の仕込みをしてしまおう

明日のメニューは翔さんが好きなハヤシライス

玉ねぎをスライスしていても翔さんの事が気になった

かあちゃんが死んだ時だって
俺を気遣い笑顔で居続けてくれた
あんな風に落ち込む姿を見せる事なんてしなかったのに

『現実を突きつけられた』って翔さんは言った
俺が言った言葉に翔さんを落ち込ませる程 現実を突きつけた事があったのか?

翔さんがモテるって話しと
いつまでも俺たち親子に縛られる必要はないから新たな恋をして、って言ったくらいだよな…

かあちゃんが死んだことを言ってるのか?
いや、それはないよな…
もうかあちゃんへの想いは吹っ切れてるみたいだし

やっぱり俺が翔さんを突き放したみたいに聞こえた?
今まで頑張って育ててきた子供から
いきなり親離れ宣言みたいのをされたから落ち込んだのか?

その手の話は聞かなくもないもんな
子供に手が掛からなくなると寂しくなる、とか…

翔さんも寂しくなっちゃったのかな…

親離れしようとする子を親としては引き止められないし

そうなると翔さんが『心の整理をつければいい』って言ってたのも納得出来る

でも俺別に親離れ…いや、翔さん離れをしようと思った訳じゃないんだよな…

翔さんに幸せになって欲しいだけなんだ

好きな人の幸せを願ったのに
それが裏目に出てしまうなんて…

どうしたら翔さんに伝わるかな

俺の望みは 今まで苦労させてきた翔さんに安らぎを与えたいだけなんだよ、って…

出来る事ならその役目は俺でありたい

でも10歳も年下の俺じゃ翔さんを安心させられるだけの力は持ってないから…

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