テキストサイズ

take a breather

第1章 Now or Never

ん~、困った。頼みの綱も役に立たなかったか。

『でもさ、翔ちゃんの好きなものならわかるよ』

「え?そうなのか?だったらなんでそれ贈らないの?」

『だって、それ最近好きになったみたいだし、俺たちからじゃ無理だから』

「ふたりからは無理?まさか高額な商品?」

『ん~?どうなんだろ?行く行くはそうなる可能性もあるとは思うけど、でも手にいれること自体俺たちには難しいのかな』

「そんな難しいもん、俺にも用意出来ねぇぞ?」

『ううん、逆。大ちゃんにしか用意できないよ』

「なんだそれ?」

『だって大ちゃんの描いた絵なんだもん』

「俺の描いた絵?」

『あの時さ、翔ちゃん凄く褒めてたでしょ?
だから、大ちゃんの描いた絵プレゼントしたら?』

「そんなんでいいのかな?」

『いいに決まってるじゃん!
さっきも言ったでしょ?翔ちゃんは物欲がないの。
金額なんて気にしないんだよ。
心の籠ったプレゼントならなんでも喜んでくれるって』

「そっか…わかったよ。ありがと雅紀」

『どういたしまして。
それにさ、行く行くは価値が上がるんだろ?その絵』

「それはどうかな…」

『その絵が高値で取り引きされる日を楽しみにしてるよ』

「おう」

『じゃあまたね、頑張って』

「サンキュ」

通話を終え、スケッチブックに手を伸ばした。

出逢った時に描いた翔くんの絵を見て決めた。
この絵を仕上げてプレゼントしよう。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ