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take a breather

第12章 Step and Go

「ショウ、お待たせ」

ミントの入ったグラスがショウの前に置かれた

「ピアノ、何曲くらい弾けんの?」

そのカクテルグラスに口をつけながら軽く首を傾げた

「わかんない…数えたこと無いし
でも100は超えるかな」

「へぇ〜、すげぇなぁ…
俺なんて曲名だけでも100曲も答えられない」

「人それぞれ得手不得手はあるだろ?
俺だって絵を描けって言われたら
それは出来ないし」

「絵、苦手なのか?」

「あぁ、全くもって描けないね」

自信満々に言い放つ所が小気味良い

「ははっ、苦手なのに威張るなよ」

「別に威張ってねぇし…真実を伝えたまで」

「なんか描いてよ
そんだけ『描けない』って言い切る絵を見てたい」

「は⁈やだよっ
笑われて終わりだし」

「いいじゃん。笑わないから描いてよ」

「絶テェ描かねぇ。俺もう行くから」

椅子から立ち上がってしまった

「ちぇっ、残念…」

「…代わりにピアノのリクエストで良いなら聞くよ…」

「え?マジで?」

そんな事言ってくれるなんて思いもしなくて
勢いよくショウを見上げると思いっきり視線がぶつかり、ショウは慌てたように視線を逸らす

ん〜、まだ警戒するか…

「あ、でも俺 ピアノ曲何も知らないや…」

「俺の知ってる曲ならなんでもいいよ
童謡でもアーティストの曲でも…
それなりにアレンジして弾くから」

「そんな事まで出来んの?
マジですげぇじゃん」

「そんな感心する事じゃないから…
で?何にするんだよ、曲」

「アニソンとかでもいけんの?」

「いけると思うよ、ちなみに何?」

「ドラゴンボール。ガキの頃よく観ててさ
今でもたまに主題歌口ずさんだりすんだよなぁ」

「あ〜、俺も観てた…エンディングとかもいい曲あるんだよな」

「そうそう」

「オッケー、メドレーにして適当に弾くわ」

「おー!楽しみ」

そう言うとショウも笑顔を浮かべピアノに向かった

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