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take a breather

第12章 Step and Go

また1時間程経つと休憩に入った

「マサキ、モヒートお願い」

「ん、すぐ作るね」

今度はひとつだけ席を空けて座る

ちょっとだけ近付いた?

「一歩前進?」

ショウを見てそう呟くとショウの耳にも届いたのか
不思議そうな顔をしてこちらを向いた

「ひとつ座る椅子が近付いたから
ふたりの関係も一歩前進?」

俺の言わんとする事を理解したようだ
『あぁ…』と頷き、フッと苦笑いをする

「前進なんてしてないよ…
どうせ話しかけて来るんだろうから
距離を縮めただけ…
デカイ声で話したら他のお客さんに迷惑だろ?」

やっぱり真面目だ…

自分が不快な思いするよりも見ず知らずの客の気遣いするんだから

「ふふっ…」

「…なんだよ」

「お前いいヤツだなぁ…と思って」

「は⁈どこが?」

わかってない所がまたいい…

「教えない…んふっ…」

俺だけがわかってればいい事だから

「変なヤツ…」

グラスを持って立ち上がり
隣の席に移動した

「なにっ⁈なんで移…」

驚いたように俺を見て、更に文句を言おうと口を開く

「大きな声を出すと他のお客さんに迷惑だよ?」

そう指摘すると途端に黙るんだから
超が付くほど真面目で しかも素直…

素直じゃない時は自分を守る時

傷つかない様に必要以上にパーソナルスペースを取り
そこに入り込むヤツを攻撃する

そんなことしなくても俺はお前を傷つけないから

って言ってもそれすら聞き入れてくれないんだろうけどな

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