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雪原に咲く椿

第1章 邂逅ーツナガリー

言いようの無い高揚感。


あの森の、椿だ。


まだ確信はない。ーーもう、ひと押し。


「どこで、これを……?」


「東の果てに誰も近寄らない森があるだろう?そこを通りかかった際に拾ったんだ。この白く覆われた大地で、あかは目立つからね」



この世界ーー特にこの地は、女神信仰が根深い。女神が世界を産んだあと、最初に降り立った始まりの森と云われている。まだ不完全なこの世界を見守る役目がいると考えた女神は、自らの腕を切った。



美しい鮮やかな血から、花が生まれた。



その花が“つばき”だとされている。少年と少女の器を与え、始まりと終わりを繰り返し、永久(とこしえ)に世界を見守った、らしい。




これが世界の始まりの伝承ーー。


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