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どすけべカメラマンに犯されています!

第11章 華にたかるハエは叩き落とすのみよ。

眠気に襲われつつ、何だか寝たくないという矛盾した衝動に駆られ、誰もいないのをいいことに休憩所の長椅子に寝転ぶ。
円窓には欠けた月が掛かっていた。

ぼーっと眺めていると、先ほどのヒカリの言葉が頭をよぎる。


ください、と。確かに言われた。
貴方が好きです、と。

脳みそが溶けそうになるほどの甘い声で。

思わずニヤついてしまう。

普段はそうそうだらしない顔はしないタチだが、仕方がない。こちとらその言葉を引き出すのに五年も掛かったのだ。

相当酔っていたので、明日には忘れている可能性が高い。
けれどそれはそれで、また一興。
保留にはさせない。

快楽に呑まれたから出た言葉かもしれない。

それでもいい。

時間をかけてでも、シラフの時に同じ言葉を引き出してみせる。

好きで仕方がない、貴方がどうしても欲しい、そう言ってしまう程に、骨抜きにするまでだ。
じゃないと自分が不便でしょうがない。

オレはとっくの昔から、何年も骨抜きなんだから。

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