テキストサイズ

友達のままがいい

第5章 (過去)社会人

そして則ちゃんと初めて飲む日、朝から落ち着かない私がいた。
いつもより長めに鏡の前に座り、変じゃないかと何度も何度もお化粧の手直しをする。
夜に会うんだから今頃からやっても落ちちゃうのに長い間鏡の前に座っていた。
こういう時の一日は長い。
同じ時間のはずなのに、何度も何度も時計を見ては進まない針にイライラしたりもした。
そのイライラした分、終了のチャイムが鳴ると一気に気分が華やいだ。
急いで身支度をして則ちゃんと待ち合わせした場所に急いだ。
待ち合わせ場所は私の行きつけのお店。
気兼ねしなくていいのと、今の私を知って欲しくて居酒屋彩に決めた。
お店の前に到着して、ひと呼吸してどこか変じゃないかと確認してドアを開けた。
いつもより早い時間のせいか常連客の姿はない。
大将と女将さんに軽く挨拶をして半個室をのぞいてみると、則ちゃんはビールを片手にスマホをいじっていた。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ