テキストサイズ

友達のままがいい

第5章 (過去)社会人


「結婚するには相手を探すところからかな…誰か…私とつきあってくれないかなぁ…ねぇ~…則ちゃん…」

机に突っ伏して私の方を見ている則ちゃんに語りかけた。
私はいったい、則ちゃんに何と言ってほしいのか…それもわからず問い続けた。

「ねぇ…則ちゃん…」

その言葉に返事をする事はなかった。
則ちゃんは完全に瞳を閉じて眠ってしまって私の問いに答えをくれる人はいなくなった。
それから則ちゃんをタクシーに乗せて彼の家まで送っていくことにした。
案外遠くないところに住んでいたようで、今まで偶然に出会わなかったのが不思議なぐらいの距離だった。
則ちゃんの家に到着してひとりで歩けるから苦労はなく部屋まで送り届けることができた。
初めて入る則ちゃんの部屋。
男性なのにきちんと整理整頓されているのは則ちゃんらしい。
そしてテレビ台の横に大切に保管してあるミサンガを見て胸が熱くなる。
ちゃんと持っていてくれた。
ちゃんと私たちを思い出してくれていたんだと思うと目がしらが熱くなった。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ