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友達のままがいい

第5章 (過去)社会人


「則ちゃん…これ持っていてくれたんだ」

透明な袋に入っているミサンガを手に、ベッドに寄りかかっている則ちゃんの傍に行けば、目を細めて笑う。

「それ…俺の宝物だから。俺とお前の繋がりだから…文香も…大事にしてる…だろう?俺との絆…」

則ちゃんの言葉に心を鷲掴みにされた感じがした。
今の言葉の意味って…と聞き返したい衝動を抑えて笑い返した。

「持ってるよ。私も宝物だもん。捨てられないよ」

「だよな…俺と文香の繋がりだもんな…俺の一番の理解者で…俺の一番の味方で…俺が一番…」

則ちゃんは色々な言葉を口にしながらそのまま寝てしまった。
最後の言葉の続きが聞きたかったけどどんなに起こしても起きることはなかった。
すやすやと眠る則ちゃんの顔を見ていたら高校時代の想いがあふれだす。
好きだった気持ちは今も変わらないのだと実感させられた。
忘れていたはずの気持ちは、ただ奥深くに眠っていただけなのだと気づかされた。

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