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友達のままがいい

第5章 (過去)社会人


それは本当に偶然だった。
仕事帰りに直帰が許されていつもと違う道を歩いて帰っている時に声をかけられて驚いたのは言うまでもない。
高校卒業してから一度も会っていなかったから、懐かしくて飲みに行くことになった。
おすすめのお店を聞かれたけど、彩には連れて行きたくないととっさに思ってしまった。
あそこは今では私と則ちゃんの秘密基地。
誰にも知られたくない場所に慶介でさえ入れたくなくてごまかした。
金曜日の夜はどこもお店がいっぱいで予約なしで入るのは難しい。
とりあえずブラブラしながらみつけようということでふたり並んで歩いていく。
こんな風に慶介と歩けるなんて思ってもいなかった。
一度は傷つけてしまった人なのに、それさえ感じさせない慶介に感謝しかない。
そして少し話しただけでも昔と変わらず優しいのが分かる。
些細なことに気が付いて先回りをしてくれる。

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