テキストサイズ

友達のままがいい

第5章 (過去)社会人


「彼女は幸せ者だね。慶介にそんなに愛されて」

「それは違うよ。幸せ者は僕だよ。僕の事を愛してくれるからね」

そうほほ笑む慶介は本当に幸せそうにだった。
その表情を見ながら、だったら私は?と思う。
私は則ちゃんにとってどんな存在なんだろうと考えると無性に寂しくなった。
友達という立ち位置は私が決めたはずなのに、幸せそうに笑う慶介を見て泣きたくなるぐらい苦しくなった。
どうして苦しくなるのか分からない。
ただ…私もこんな風に愛されたいと慶介の言葉で思ってしまった。
そして私も愛されて幸せだよと言葉にして言いたい。
だけどそれは叶わぬ願いで、則ちゃんが私を好きになってくれることはない。
だって、則ちゃんは私とは友達が良いと言葉ではっきりと言ったんだから…私を好きになってくれることは天地がひっくりかえってもありえない。

「ここが空いてそうだよ。とりあえず入ろうか?話はそれからだね」

下を向いている私の頭をポンポンと撫でて空席があるお店に足を踏み入れた。
慶介の言う通り、まだ少し席が残っていて座ることができた

ストーリーメニュー

TOPTOPへ