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友達のままがいい

第4章 (過去)高校生

則ちゃんはというと、あの日以来私を避けるようになっていた。
3年になってクラスが別れていて会う機会が減ったのもあるけど、廊下ですれ違っても話かけようともしないし目も合わせてはくれない。
さっと視線を外して、そこに私がいないかのように通り過ぎていく。
話す必要ができても最小限の会話しかできず、完全に彼の中から私は消された。

―――― 嫌い…大っ嫌い…

と言ったのは私の方。
だけど、それを言われることをしたのは則ちゃんで…なのにどうして自分が避けられなければいけないのかモヤモヤとしたものが私の心に芽吹き始めていた。
そして、則ちゃんを見るとあの日のことを思い出して切なくなる。
慶介より感じたキス。
もっと、キスしたいと思った自分。
それが何なのか…本当は分かっていた。
だけど自覚するのが怖くて考えないようにしていたけど、その答えは明白だった。


私は…則ちゃんが今でも好きだと…自覚するしかない。

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