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友達のままがいい

第4章 (過去)高校生

そうなれば、話すことも少なくなり一緒に帰るのも減ることになる。
そして卒業を待たず別れることになった。
いつものように慶介と帰る道のりは楽しくもなければドキドキもしない。
たわいもない話を聞きながら、慶介に手を引かれるままいつもの公園に向かった。
ベンチに座り街並みを眺めていると、慶介の手が頬に触れて顔が近づいてきた。
そんな気分になれない私は顔を背けると、慶介のはぁというため息の音が耳に届く。

「ねぇ文香…僕といて文香は楽しい?」

「…楽しいよ」

心にもないことを言ってごまかそうとすると、慶介はクスッと笑った。

「どうしたの?」

「ん?文香は嘘が下手だなと思ってね…文香が僕といて楽しいと思ってないことぐらいわかってるよ…いつぐらいからかな…フッとした瞬間に何かを考えているね…そして最近では辛そうな表情をするようにもなったね」

慶介の言葉に驚いていると、慶介の手が私の手をそっと包んできた。
その手から伝わる温かさに申し訳ない気持ちがあふれ出る。

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