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友達のままがいい

第4章 (過去)高校生

慶介は何も悪くないのにごめんねと口にする。
私は首を横に振りながら俯く事しかできない。
お互いにそれ以上は話さず、静かな時間だけが流れていた。
沈みゆく太陽が街並みを赤く染めるころ、慶介が私の名前を呼んだ。

「文香…」

「んっ?」

慶介の方を向けば、慶介は真正面を向いたまま私の方に顔を向けずに静かに言葉にする。
それはとても静かに…静かな言葉だった。


「僕たち別れよう…」


その言葉を聞いた途端に涙があふれてくる。
そんな私を最後まで慰めてくれた優しい慶介。
最後は辛い思いをさせてしまったけれど、本当に好きだった…
慶介はどう思っているか分からないけど、好きになってよかった。
短い時間だったけど、つきあえてよかった…そう心から思う。

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