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友達のままがいい

第4章 (過去)高校生

慶介と別れて一人になっても則ちゃんとの関係が回復するわけもない。
相変わらず廊下で会っても、彼の視界に私が映ることはない。
それでも月日は誰のもとにも平等に流れていく。
就職も決まり、則ちゃんとの関係は変わらず卒業式を迎えた。
学生生活最後の日。
友達や先生との別れにみんなと一緒に涙する。
楽しいことも悲しいこともいろいろとあった3年間。
人を傷つけ傷つけられ、3年間という短い時間の中で色々学んだ。
やり残したことは?と聞かれればひとつだけ…
それは則ちゃんとのことしかない。
則ちゃんの視界に私が映らなかったとしても、同じ学校内で近くにいられたけど、これからはそれもできなくなる。
お互いにそれぞれの職場で新しい生活が始まれば、もう会うこともなければ話すこともない。
それが嫌で、何度自分から声をかけようと思ったか分からない。
だけど彼を目の前にすると足がすくんで声がでない。
呼び止めることさえできずにいた。
そんな私をジロりと睨みつけて友達と楽しく会話しながら通り過ぎていく。

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