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友達のままがいい

第4章 (過去)高校生

則ちゃんはベンチに座って、前と同じように街並みを見下ろしている。
違うのは季節と時間と私と則ちゃんの関係だけ。

「座ったら?」

声をかけられ、距離を置いて座った。
そんな私に視線を向けて、則ちゃんは苦笑い。
そして…

「…文香に…嫌われているのは知ってる…酷いことしたんだから嫌われて当然だと思う。…だけど、ずっと謝りたいって思ってた。けど次に面と向かって『嫌い』って言われたらと思うと…どうしても話しかけれなかった」

思ってもいない事を口にした則ちゃんは立ち上がって、深々と頭を下げた。

「本当にごめん。謝って許されることじゃないけど…本当にごめんなさい」

ごめんといいながら、則ちゃんの震えてるのが分かる。
嫌われているのは私の方だと思っていたから何も言えずにいると、則ちゃんは頭を下げたまま続けた。

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