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友達のままがいい

第4章 (過去)高校生

あきらめるしかないのかと考えていると、後ろから懐かしい声で呼びかけれられる。
だけどきっと幻聴だと思い、そのまま歩き続けた。
だけど幻聴は何度も聞こえて、まさかと思い振り返ると走ってくる則ちゃんの姿が目に入った。

「文香…一緒に…帰らないか?」

私のもとに走ってきた則ちゃんは荒い呼吸をしながら、少し恥ずかしそうに言った。
もう二度と話してはもらえないと思ったから言葉にならずに、だけど小さく頷いて久しぶりに並んで歩くことができた。
でも、一緒に歩いていても則ちゃんは何も話さない。
それどころか私の前を歩いて私の方を振り返ってもくれなかった。
久しぶりに見る背中は少し大きくなったように感じ手を伸ばしかけてやめた。
昔みたいに手を伸ばし、じゃれあうこともできない。
こんなに近くにいても、やっぱり則ちゃんは遠い存在で手の届かない人だった。
則ちゃんは黙ったまま、あの公園に続く階段を上り始めた。
一瞬躊躇したけど、則ちゃんの後を追った。

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