俊光と菜子のホントの関係
第14章 『俊光君への兄(本命)チョコ』
「はぁー、どれもこれもオシャレで美味しそうねー」
明里が感心したようにチョコ達を眺めてる。
「うん。あげるよりも、私が欲しー」
私もチョコ達にうっとりしちゃう。エリナ達三人も離れたところで、女の人達に混じってチョコを楽しそうに物色してる。
新作を常に出すし種類も豊富だから、毎年見ても全然あきないよー。
有名なチョコレート店と西急ハンズがコラボした物とか、クマさんやウサギさんなどの動物の形をしたラブリーな物とか、昔からあるお馴染みの物とかも。あぁー、出来ることなら全部食べちゃいたーい。
思わずヨダレが出そうになっちゃっていると、
「……ねぇ、菜子? 今年のバレンタインチョコは、どうするの?」
と、明里が私のデリケートな部分にそっと触れるように訊いてきた。私は、出かかったヨダレをズズッと吸った。
「うーん、そうだなぁ……。どうしようかなぁ……?」
チョコレートは毎年、俊光君とお父さんには必ずあげてるんだよね。
お父さんには、もちろん父親チョコ。
俊光君には、兄チョコをあげてるんだー……『表向き』では。
俊光君を好きになってからは――私の中でだけ『本命チョコ』としてあげてたりする。
明里は、そのことも、そして今は俊光君を諦めようとしていることも、両方知っている。だから明里は、そっと訊いてくれたんだと思う。
けど……今年はもう、私の中でもちゃんと兄チョコとしてあげなきゃダメだよね……?
「……菜子。この場にふさわしくない顔してるわよ」
「へぇ?」
「眉間に、シ・ワ」
「ひゃっ」
明里に人差し指で、眉間をちょんちょん突っつかれた。