俊光と菜子のホントの関係
第4章 『私と俊光君』
*
――小学五年生。
「ふんふんふーん、ふふふふふーん」
小学校からの帰り道。鼻歌をふんふん歌いながら楽しく歩いていたら――
ん? あの後ろ姿はもしかしてー……
あっ! やっぱり『お兄ちゃん』だぁ!
学ラン着てるから、ちょうど中学の帰りかも。
えへへーやったぁ! 一緒に帰ろーっと!
「お兄ちゃ――」
「池崎くーん!」
え?
私より先に、お兄ちゃんのところに来たのは――
同じ中学のお姉さんだった。
「池崎君、今帰り?」
「そうだよ」
「途中まで一緒に帰ろっ」
「うん、いいよ」
あっ……。
お兄ちゃん。私に気づかないで、お姉さんと楽しくお話をしながら歩いて行っちゃった……あーあ……。
お兄ちゃん……中学生になってから、私と遊ぶ時間が減ったんだよね。部活とかもあるし。
時間も合わないから、一緒に学校へ行ったり帰ったりも出来なくて。
だから今、一緒に帰れると思ってうれしかったのに……
お姉さんに取られちゃったよぉー……。