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でも、愛してる

第5章 5

 もちろん、わたしにだって、性欲はある。わたしにだって、と言うのはおかしいが。ドラマや小説の、ちょっとエッチなラブシーンでは、ドキドキするし、いいなぁ、と思っていた。
 いままでセックスをしなかったのは、清の言う、「してもいい人」が身近にいなかった、ということもあるのだろう。たぶん…
 いわゆるおつきあいをしたこともあるが、その人とは、セックスをするというような感じではなかった。してみたいという気持ちが、なかったとは言わないが…
 わたしの頭の中で、清の二つの言葉が、雷のように轟いてきた。
 「手嶋さんを、第一にします」
 「手嶋さんが気持ちよくなるセックスを、します」
 という言葉が。
 なかでも、
 「手嶋さんが気持ちよくなるセックスを、します」
 という言葉は、わたしの性欲に火をつけた。
 「ほんとに…
  わたしを、第一にできるんですか?」
 「できます」
 「断言するんだ」
 「手嶋さんを第一にできると思ったから、話したんです」
 「ほんとに…
  その…
  わたしが…
  気持ちよくなれるセックスを…
  …
  その…
  してくれるんですか?」
 「はい。
  断言します」
 「ほんとに…
  断言できるんでしょうか?」
 「私は、
  セックスは、女性が気持ちよくなるためのものだと思っていますから」
 「お年のことが…
  すこし心配です…」
 「大丈夫です」
 わたしを、説得しようとしている清の、一生懸命さを、またまた、かわいいと思ってしまった。
 清が、嫌なやつだったら、絶対に駄目だけど、そうじゃないから…

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