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愛のことば

第1章 愛のことば

         14

 直さんは、そのまま、じっとしてくれていた。
 「直さん」
 「なに?」
 「動いて」
 「動かないほうが、
  いいと思うよ」
 「動いてくれたら、
  気持ちよくなるんでしょう?」
 「きょうは、
  ならないと思うよ」
 「ううん。
  なんだか、
  気持ちよくなりそうな、
  感じがするの」
 「えっ」
 「アイちゃんが、
  直さんを、
  感じているの。
  直さんを、
  抱いているのを」
 「うん」
 「そしてね、
  アイちゃんが、
  直さんに、
  撫でてほしいと、
  泣いて言うの。
  涙がいっぱいなのは、
  わかるでしょう?」
 「うん」
 「ね、
  だから、
  お願い。
  動いて」
 「わかった。
  痛かったら、
  言ってね」

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