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やさしく愛して

第1章 やさしく愛して

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 わたしが、恒さんとはじめて話したのは、恒さんが、詩のプリントを貼り替えていたときだ。
 「こんどは、
  どんな、
  詩なんですか?」
 「はい。
  堀口大學の、
  樹が笑う、
  という詩です。
  あっ、
  おはようございます」
 「おはようございます」
 「詩を、
  みてくれているんですね」
 「はい。
  毎週楽しみにしています」
 「ありがとうございます」
 「このまえの、
  孫がおばあちゃんの嘘をみぬいて、
  わたし六歳だからと、
  いばっているのが、
  面白かったです」
 「あれは、
  私が好きな詩です」
 「わたしも、
  好きになりました」
 「私は、
  恒です。
  あっ、
  いや、
  衛藤です。
  この塾をやっています」

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