テキストサイズ

愛は楽しく

第1章 愛は楽しく

         2

 わたしたち保母が、何人かでカーゴに子どもたちを乗せて、散歩をしていたら、スマホを見ながらの自転車の女の人が、カーゴにぶつかりそうになった。
 そのとき、勉さんが、ちょうど横を歩いていて、手で自転車を押し倒した。
 「なに、すんのよ」
 「君こそ、
  なにをしてるんだ。
  ぶつかっていたら、
  子どもたちは、
  大怪我をしていたんだぞ」
 「ぶつからなかったわよ」
 「それなら、
  先生方に、
  聞いてみようか」
 「どうせ、
  都合のいいことしか、
  言わないわよ」
 「複数の証人は、
  証拠能力があるんだ」
 「ふん」
 と言って、自転車に乗って行ってしまった。
 「あの子、
  謝らなかった」
 と、同僚が言ったら、
 勉さんは、
 「謝る人なら、
  あんな乗り方はしないですよ。
  まあ、
  怪我がなくて、
  良かったと思いましょう」
 と言って、歩いていった。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ