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突然の出逢い ( N×M )

第1章 Anemone .




「... あの良かったら座って下さい。
コーヒーいれますから。」



「ありがとうございます…。」




「どうぞ。」



受け取ると控えめに会釈をして
ずずっとコーヒーを啜った。



てか何を話したらいいんだろ...。



「松本さん...俺が悪いんです。
初めて会ったとき急に連絡先渡したりして。
連絡来るかもなんて期待しちゃって...」



突然謝り出した二宮さんの表情は
とても険しいものだった。



「いえ...。」




何でひとことしか返せないんだ俺...。




「二宮さんは本当に俺のこと一目惚れしたんですか…?」





「本当です。初めて会ったとき凄くドキドキして、俺過去に何人ものの客の相手してるのに...松本さんだけは違ったんです。」



淡々と話すのを聞いてなぜか安心した。




「俺も...常に二宮さんのことを考えてしまうのはなぜですか?」




「えっ...?」




「何で連絡しないだけで落ち込んだり...。」




「松本さん泣かないで...。」




自分でも泣いてることに気づかなかった。

泣いちゃだめなのに。


泣きたいのは二宮さんなのに。




「ごめんなさいっ…」




「大丈夫ですから。
松本さん、それはきっと” 恋 ” ですよ。」




「恋...?」




「はい。」




咄嗟に見た二宮さんの顔は

初めて見る笑顔だった。

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